2014年2月18日火曜日

2014年2月17日月曜日

青い雪

100年だか1000年だかに一度の大雪が降った
駐車場の車はこたつを頭からかぶったように丸い

朝になり雪の降るのをおさまるのをみて
近所の人々は腰まで積もる雪をかきかじめた
溶けだした雪の水がシャベルからぼたぼた落ちる
昨夜サラサラと降っていた雪がこんなにも重くなる

ふとシャベルの上の雪の青いのに気がつく
南極の氷は大気を含んでいるため酸素が圧縮され青い
と聞いたことがある

この雪は大気を含んでいるのか
降る時に含んだのか
積もりながら含まれたのか
何千年も上空で抱えていたのが降ったのか
それはわからない

普段使う言葉たちはサラサラと流れてゆくけれど
どこかで空気を含んだならば
この青い雪のように輝くものになるのだろうか
そして積もりゆけば
ひとつの重さを持つようになるのだろうか

やがて溶けてふたたび空へ帰ってしまうとしても
その重さや青さを
私や誰かの中にとどめるのだろうか

2014年2月8日土曜日

はじめてまして

それはいつのことだったでしょう。
はじめてことばをはなしたのは

それはいつのことだったでしょう。
はじめてどこかにいきたいとおもったのは

それはいつのことだったでしょう
はじめてだれかのそばにいたいとおもったのは

そはれはじめてあめがふったときのことを
もうおぼえていはいないようにわかりませんが

ことばをはなすときや
どこかにいきたいとおもうときや
だれかのそばにいたいとおもうとき
そのすべてがはじめてのようなきもちで
いることはできないけれど
せめてわすれないようにしたい
きょうというは
いまというしゅんかんは
はじめてのことなのだということを

ぼくにとっても
あなたにとっても
このせかいにとっても
はじめまして

2014年2月5日水曜日

ボタン雪

ボタン雪の降る夕暮れに
僕らは少し昔を懐かしむ
ドーナツの輪っかの先に
赤い頬の君が吐く白い息
降るボタン雪に街は紛れ
君の呼吸に喧騒は消える

季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす