poem on chair
2019年4月9日火曜日
それはいつか落としてしまった
私の手のようでありました
私は少しだけ近づいて今ある手を重ねてみました
波の音が聞こえた気がしました
飽き足らずに走り出した
少年を砂浜まで追いかけて見つけたのは
ひとつの貝殻
耳に当てると懐かしい季節の音がした
さよならのふりして
足元見れば
敷き詰められた桜の花びら
昨夜の雨が速度をあげて
春を遠ざける
列車の行き交う街並みの中で
私は今日も点滅している
2019年4月5日金曜日
夕暮れの道に黄色い風船の浮かぶ
それは昨日からの手紙
おかえり
風が吹くと花びらが舞い、
人々が眺めたりはしゃいだり
遠い日と思っていたのに
それは今日のことだったり
今ばかりが捕まえられず遠く遠く
わたしから引き剥がされていました
少し雨が降って
やがてやんで日が射したりしました
ひとり
よらず
ひとり
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雪が降る 柔らかに雪が降る 昼も夜もこの街に 雪が降る 足跡が道についている 誰かが歩いた跡 私も歩く 雪の中を 優しい雪の中を
傘
雨が降ると天気予報で聞いた 傘を持って出かけた でも、雨はぼくが屋根の下にいる間に降って だから、ぼくは濡れた路上の上を傘を持って歩いた ビルの間から木漏れ日みたいに陽が差して ぼくの世界はまっ白になったんだ それで、ぼくは持っていた傘を開いて 歩いたんだ ...
痕跡
誰が来たのか 誰が去ったのか それはなんとなくなくなる なにがあって なにが終わったのか その痕跡すらなんとなくなくなる 私も誰かから この世界から なんとなくなくなっていく