2008年12月30日火曜日

深夜

あなたに連絡しないと
心に決めた勝手な決意は
生きることを窮屈にする

届かぬあなたへ
勝手な愛の言葉を告げる
僕はどんなに滑稽だったか

飲みつかれて眠るあなたの横顔を
見つめることもできず眺めるだけ
月が僕を見ていた

雨男

僕は雨男になってから
どこへ行っても雨が降り
以来青空が恋しく思う

2008年12月26日金曜日

輪廻

明日生きられぬ所へは
生まれたくはない

明日自由のない所へは
生まれたくはない

明日笑えぬ所へは
生まれたくはない

輪廻というものがあるならば
そういう不安のなきとこへ

ただあなたに会えぬのならば
どこへも生まれたくはない

2008年12月20日土曜日

飛魚~PBフィジーにて~

夕凪そよぐ椰子の葉に
耳をすませば笑い声
今日という日が
さよなら言うのを
かき消すように
みな海へ帰る飛魚

2008年12月19日金曜日

花を贈ろう


花を贈ろう
大切なあなたへ
大切な日に

花を贈ろう
細く冷たかった
指先にふれ
やさしく繋いだ
あの日の恥ずかしい親しみに

花を贈ろう
大切なあなたへ
大切な日に

PC


どんなに遠くの街にいても
どんなに近くにいても
愛してさえいれば同じだと
PCに向かう君は言う

PCから君の気持ちが
どこかへ流れていかないようにと
体だけでも繋ぎとめようと
僕は君を抱きしめた

2008年12月18日木曜日

おはよう


朝、息が白い
昨夜の雨のせいか
畑から湯気がたっている
大地も呼吸してる
おはようって

冬雲



冬空に浮かぶ雲
夕日に押されて
夜へと漂う

2008年12月17日水曜日

命の道で

思うすべてのことを
言葉にすることの果てしなさ
感じるすべてのことを
伝えようとすることのいやらしさ

あなたの前で膨らみ続ける
あまりに速すぎて捕らえきれない
無数の言葉と感情は
時のかなたへと去ってゆく

光なのか
雨なのか
木々の梢か
土の薫りか

あなたの巡る命の道で
そんなふうに添えたなら
かなたへ消えた心の波が
そんなふうに添えたらいい

2008年12月16日火曜日

真面目な話

広さに比べれば
悲しみなど
笑い話にすぎない

肌にくらべれば
アルコールなど
ジョークにすぎない

2008年12月15日月曜日

朧月夜

打ち寄せる波は
朧月に照らされた
白浜にすいこまれ

吹き抜ける潮風は
朧月に照らされた
白浜を駆ける

辿りついた僕たちは
朧月に照らされて
白浜に舞う

流れ行く青春は
朧月に照らされて
白浜の砂となる

2008年12月12日金曜日

笑顔

あなたと一緒にいられる時は
これで最後かもしれないと
時計の針の進むのがつらくなる

こんなにも心をひらいて笑うのは
僕がいるからじゃない
あなたの好きな人がそばにいるから

僕はそれだっていい
あなたの笑う顔を見ていられるのなら
それだけでうれしい

2008年12月11日木曜日

コーヒーカップ

男と女の飲み残した
コーヒーカップ
ランプの灯火に照らされて
影が伸びている

男と女はどこかへいった
コーヒーカップを残して
どこかへ行った
影が伸びている

2008年12月9日火曜日

フィルム

フィルムに焼き付けられたイメージは
光に照らされ鮮明となり
リールが回り出す時
感情となる
動力は

2008年12月8日月曜日

銀杏並木

踏み出す怖さをさらして
つないだ手はぬくもり
見えない道なら寄り添うたびに
一つ一つ敷き詰めればいい
ふたりでそのぬくもりを
銀杏並木の落ち葉のように

2008年12月5日金曜日

ひとり

人を好きになったら
ひとりになった

足音

足音が聞こえる
近づいてきて
立ち止まって
うろうろして
去っていく

足音が聞こえる
怪我したかな
ずるずるいってる
少し佇んで
去っていく

足音が聞こえる
これは君だ
ハイヒールが慣れない
ほら、つまずいた
足音がふえて

さみしさが去っていく

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2008年12月4日木曜日

もやし

もやし
食べる?

もやし
入れる?

もやし
好き?

もやし
味ある?

もやし
炒めは400円かな?

やっぱり
もやしだよね

世界は
もやしだよね。

2008年12月2日火曜日

文字

見慣れた文字の先に
あなたがいるということ

それだけでどうして
こんなにも文字が愛おしいのだろう

星や宝石はその一文字に遠く及ばない

詩篇1-10

1、自由

さて
私は生まれた
自由だ

どこへゆく
なにをする
自由だ

永遠に
命と共にある
自由だ

2、花

それは咲く
私と同じように
あるいは花と同じように

繋ぐため
撒くため
それは咲く

今までと同じように
あるいはそれからと同じように
ここで

3、風

飛ばし
運び
かき消し
揺らす

想いと
命と
叫びと
心を

ふわり
ふんわり
びゅんびゅん
さわさわと

果てから果て
始まりから始まりまで

ふわり
ふんわり
びゅんびゅん
さわさわと

4、音

消えてゆく音は
心の中で反響し
繰り返し繰り返される

何年経とうが
変わらずよみがえる音は
すでに聴くものの一部となる

思い出とはつまり音よりはじまる

5、光

包まれることは
忘れてしまうこと
離れてなくなろうとも
思い出すのだ

なつかしく
そのあたたかさと明るさに
似たものを求めて生きている
だが

記憶の中よりは
どこにも見つけられない
それが光
ほんとうの光

6、影

あることで生まれくるのだが
みつめられることなく
もとめられることなくある
闇ではない

あることは影をたどることで
たしかめられる
なくするには
影にいればよい
耐えられぬなら
影にいればよい

なにか大きな影に
身を潜めることより
あることのさみしさや
あることの恐怖より耐え逃れられる

だが影よりは逃れられない

7、時間

なにに干渉されることなきように
決意したひとつの命であるかのように
無関心にすべてに入り込み
覆し推し進める

ああ

友となれたらいいのに

でも

君はいつでも憎しみの対象

ごめんね

たぶん大切にしないから

8、言葉

離れていくことはしっている
終わらせてしまうことはしている
言葉にしないほうがいいのに
今度こそは
掴んで離れず終わらない言葉が
見つかるかもしれないと

愚かにも
発してしまう
愚かにも

9、愛

これで生きて
これで死ぬ

10、存在

触れて確かめていくことでしかわからない
確かなものに触れて
なんとすべてはうつろいやすいものなのかとわかる
そのうつろいのうちにあるひとつの自由で確かな力
それこそが存在であること
確かな存在であること

私は言いたい

2008年11月30日日曜日

空を飛べたら

空を飛べたらいいのに

街を歩いて
花を見ても
服を見ても
君を思い出す
青空見てると涙が出るよ

空が飛べたらいいのに

あの青空とひとつになれば
憧れることなんかないんだ
君のいない地上は
悲しすぎるよ
僕は空へ行ってしまいたい

空が飛べたらいいのに

2008年11月28日金曜日

珈琲

すでに珈琲は
香りもあたたかさも消えて
苦味だけが残るけど
あなたからさめるにはちょうどいい

2008年11月27日木曜日

月とすっぽん

たどり着こうと
泳ぎつかれて
波に揺られて漂えば
甲羅にかかる金色の指

2008年11月25日火曜日

高尾山

行楽客行きかう
紅葉の高尾山

男坂と女坂の間に伸びる
仏舎利への道

踏み荒らされぬその一角に
礎となった人々の碑が佇む

雨が降り、風が吹き
陽にさらされようと黙って佇む

怒りか、慈しみか
喜びか、悲しみか

花咲く季節
木々の彩る季節には

手のあることのありがたさ
足のあることのありがたさ
目のあることのありがたさ
心のあることのありがたさ

携え

友とその道を行く
踏み固めて

2008年11月23日日曜日

さよなら愛しき人よ

愛の言葉をささやくたびに
あなたへの想いが消えてゆく

さよなら愛しい人よ
雲の流れるように消えてゆく

愛してるとつぶやくたびに
あなたの面影が消えてゆく

さよなら愛しい人よ
月の欠けるように消えてゆく

歩いた季節は幻の花
紡いだ奇跡は幻の光

さよなら愛しい人よ
思い出までも時の過ぎ行くように消えてゆく

2008年11月20日木曜日

帰り道
夜空を見上げると
月が浮かんでる

あの月へ
二人で行って
碧い地球を眺めよう

足元で
カサカサ笑う
落ち葉みたいに

月の土を
二人で一緒に
くすぐろう

そしたら僕らは
ずっと一緒
夜風が冷たくたって平気さ

恥ずかしがって
少し
寄り添えばいいんだから

2008年11月19日水曜日

待ちながら

記念日はいらない
指輪もいらない
言葉もいらない

なんの
しるしのなくとも
わかるもの

僕は
それがわかればいい

あの日の
僕の気持ちは
どこを漂っているの

君へ投げかけた
僕の気持ちは
どこで道草しているの

返事はいらない
合図もいらない
なにもいらない

なんの
しるしのなくとも
わかるもの

僕は
それがわかればいい

もし
君がそれを持っているとするならば

僕は
それを待っている

2008年11月18日火曜日

地の声

どこの地にも
声があるはず

なのに

都会はうるさすぎて
地の声が聞こえない

だまったままだ

都会の地は
疲れている

ささえることに
疲れている

街と人の夢を
ささえることに
疲れている

朝陽

僕は時々生きているということが
とてもはかなく
すぐにでも消えてしまうのではないかと
思うときがあるんだ

だから心に浮かんだことを
すぐに言ってしまったり
悲しいくらい衝動的に
なにかをしてしまったり
やめてしまったりするんだ

君に突然会いに行ったのに
うつむいて黙りこくったりする
そばにいないことが耐えられなくて
会うことでさらしてしまうことが怖いんだ

君と出会ったことで
僕は自分の求めているものが
何かわかったんだ

それはすぐそばにあるのに
とてつもなく遠く
すでに手にしているのに
いつまでも追いかけなければならない

それはそのものが
時間をかけて成っていくものだから
それはそのものが
僕と君の間に繰り返される時間の中で
それは成っていくものだから

僕は今、穏やかです
僕はあなたを感じています
もうすぐ夜が明けます
あたらしい明日がやってきます

おはよう
おはよう

君におだやかな朝陽がそそぎますように

2008年11月15日土曜日

あなたへ

日に一度はあなたを想う
祈りのように

いつものように
陽が昇り落ち
星が瞬き
月がくしゃみをしようとも
この一日は
またとない一日

いろんなことが起こる日もあれば
何も起こらない日もある
喜びの日もあれば
悲しみの日もある
この一日は
またとない一日

だから僕は今日もあなたに愛を告げよう
だから僕は今日もあなたを愛するのだ
だから僕は日々新しくあなたを愛するのだ

だから僕は日に一度はあなたを想い
あなたを愛するのだ
祈りのように

僕と世界の間に
永遠に横たわる
この静寂の時に

秋色

装い変える木々に習い
私も街で服を買い
髪を切る

次来る季節に
あなたの心
色付かぬかと

2008年11月14日金曜日

秋月の夢

夢の中で逢えぬものかと
眠りについて

笑うあなたは
ごめんなさいねと
夢の中でも私をこばむ

やわらかな指先に
触れることもかなわぬ
秋月の夢

伸びる影は
いくつあれども
いつまでも
寄り添う影は
月よりの影

2008年11月11日火曜日

残炎

ああ

この苦しみは
通過儀式なのか

それとも道を
たがえただけなのか

わからない
僕にはわからない

ただ
あまりにも
僕は恋の悦びを
感受したために
もう
なにも
残ってはいない

生きていることへの
悦びを
恋の悦びに
重ねすぎたのだ
僕は
魂を
あの
ベアトリーチェに
捧げてしまったのだ

ああ

あなたは去ってゆく
僕にもたらした
すべてを持って
去ってゆく

残された僕は
ひたすらに
煉獄の炎に
焼かれるしかないのだ

なんと残酷な!
あなたの
しあわせが
僕をさらに烈しく焼きつけるとは!

ああ
ベアトリーチェ
どうして
すべてを焼いてくれないのか

僕はもうこの残炎より
動くことができない
逃れることもできない
目を開けることもできない

ただ
この苦しみが
通過儀式であることを
祈るだけなのだ
愛への

だが
わからない
僕にはわからない

2008年11月10日月曜日

永遠

一日は一年
一日は十年
一日は百年
一日は千年

一瞬は永遠

あなたと

あなたと過ごす日々
それは天国

あなたと笑いあうこと
それは幸福

あなたと触れ合うこと
それは悦び

あなたと生きること
それは愛すること

2008年11月7日金曜日

牢獄

心が騒いで
本なんて読めない
イメージのすべてが
あなたに行き着いて
まさに牢獄
でもその牢獄には窓がある

2008年11月1日土曜日

たいせつなこと

気が付かずに過ぎていく
小さな気持ちの中に
大切なものはあるんだ

生きてると 時どき
僕も周りもうるさすぎて
そんな気持ちに気づかない

本当に本当に大切なことなのに

2008年10月30日木曜日

夕焼け

桃色の手を振る夕焼けが
あまりにもやさしすぎて
あまりにもやわらかすぎて
耐えられない

2008年10月29日水曜日

あたたかい

あたたかい
とてもあたたかい

きたがぜふいて
いきがしろくても

あたたかい
とてもあたたかいです

ずぼんにあながあいて
いろんなひとにおこられても

あなたにあえるとおもうだけで
とてもあたたかいです

あなたは はね

政治

手紙が来た
電話が来た
のぼりがたって
電柱に張り紙

駅前で
スーパーの売り子と並んで
叫んでる
どうやら政治もセール中らしい

2008年10月28日火曜日

母校

せせらぎが
光の砂をまく橋を越え
母校へ向かう道すがら
若き芽の笑い声に
記憶がくすぐられ
思い出が押し寄せる
教える人が頭を垂れたが
まだまだと思わず早足となる

2008年10月27日月曜日

AB'ACCHIO

高円寺北口
青果店脇路地
庚申通り商店街
吉野蜂蜜店まではいかない
自転車修理屋
あかね通り
焼き貝屋あぶさん
の先
AB'ACCHIO

迷った言葉と
言葉を探している人が
引き逢わされ
寄り添い旅立つところ
AB'ACCHIO

祝辞

今あなたたち二人は
両親親族、多くの友人たちに囲まれ
とても幸せな時間を受け取っています。

そして明日からはさらに
幸せな日々を受け取るでしょう

あなたたちはもう孤独ではないのですから
弱さを見せ合い未来を築く伴侶を
この広い世界でめぐり合ったのですから。

出来の悪い息子が自立しないかもしれません
借金に苦しむかもしれません
互いのやさしさが空回りするかもしれません
病にかかるかもしれません
嫌なことばかりが目に付くかもしれません
分かれて住むかもしれません

ただあなたたちは
この子の幸福な瞬間を受け取った代償として

互いの幸福だけは願わなければなりません。

それが契約です。

お互いの悲しい顔をみたら
それを思い出してください

ふたりとも笑顔がすてきですから

気持ち

会いたいけれど
会いたくない

わかりますか?
この気持ち

会いたいけれど
会いたくない

この気持ち
わかりますか?

誰?

あなたに会うたび
胸は高鳴り

あなたを捕らえようと
詩が生まれる

あなたは誰?

美しさを纏う
あなたは誰?

希望

希望はパンドラの箱の底に
唯一飛び出さず残っていたものだそう

パンドラの箱に入っていたのは
世界に存在しなかった罪悪

希望はパンドラの箱につめられた
最初の罪悪だったのかもしれない

一番深いところですでに
飛び出すことも出来なくらい長い時間いたのだから

いや、待てよ箱の底に長い時間入って
醗酵して希望になったのかもしれない

もとは絶望で最初に入ったのだが
そのあとさまざまな罪と悪に押しつぶされて希望になった

望むから罪が引き起こされる
望むから悪が引き起こされる
望みを絶っている私はここにいなくてもいい

それで絶望は希望になったのかもしれない。



いや、
いや、ちがう

箱の中には何もなかった
箱の中には何もなかった

箱が希望だったのだ。

再び世の中の悪を入れること出来るもの
それは最後に残った希望の箱だったのだ

結婚したい女

結婚したい女が3人いる
一目あって結婚したいと思った女と
一目あってこんなに美しい人がいるのかと思った女と
まだ見ぬ女だ

結婚したい女のことを考えていると仕合わせである
やさしい気持ちになり
今の自分より誇らしい自分でいたいと思うのだ
昨日の自分より少しでもよく生きていたいと思うのだ

その3人の女の誰とも結婚できなくとも
その3人の女の生きていること
その3人の女の存在していること
その3人の女に会えたこと
(まだ 1人には 会ってはいないのだが)
その3人の女に僕は

深く感謝するのだ
ありがとう ありがとう ありがとう

*この作品は5年前に制作されました。今はあなただけです。

未来へ

明日こそ
世界に愛の風が吹き

明日こそ
世界から武器がなくなり

明日こそ
世界に生まれる感情が喜びであり

明日こそ
人々が手を取り合い
そのぬくもりを抱きしめられる世界である

ために

武器を捨て
手を取り合い
そのぬくもりの帆を

空と海と大地と
雨と風と花と
星と月と太陽と
あなたと私の間に

立ち上げ

木々でさえずる
鳥の鳴き声のように

岸辺に打ち寄せる
椰子の果汁の甘さのように

三軒先で焼いている
秋刀魚の匂いのように

体を流れる
受け継がれた夢の記憶のように

やわらかに示し

マチュピチュの岩のように
朽ちることなく

モアイの目のように
ひょうきんに

大空に浮かぶ
無数の雲のように自由に

極地に咲く
忘れ名草のように確かに

強く張り

開かれてゆく
一瞬一瞬の清廉なる魂の船
地球を

今こそ生きる僕らが
その命で
凛として回すのだ

ガリリと

鎮魂の沈黙のあと
希望のドラを高々と打ち鳴らして


未来へ

君へ

君は意地悪だ
笑いかけてくれないし
態度がそっけない
話を聞いてないし
どっかに遊びに行っちゃうし
電話にも出ないし
メールもくれない

それでも
君の事を思うと
やさしいきもちになるんだ
暖かな血が体を流れるんだ

君に会うときの僕は
まるで作りかけの石像みたい
君に会うときの僕は
まるで弦のないギターみたい
君に会うときの僕は
まるで白紙の本みたい


ああ、僕もずいぶん意地悪だ

それでも

それだからこそ
君が好きだと言えるんだ

君がどこかに元気でいることを
感じられるだけで僕は幸せなんだ
君の事を思いながら歩いていると
世界が輝き
開くべきドアが見えてくる

愛をありがとう

僕に命をありがとう


次、会うときは
せめて石像の手のひらを

次、会うときは
せめて弦から飛び出たおたまじゃくしを

次、会うときは
せめて微笑む一輪の花と一緒に
一編の詩を贈りたい

意地悪な僕から意地悪な君へ

満月

月はいつでも
そこにあるのさ
まんまるで

三日月の日も
曇りの日も
寂しい夜も

歩いてみて
雲を越えてみて
目を閉じてみて

月はいつでも
そこにあるのさ
まんまるに

月はいつでも
そこにのさ
愛みたいにさ

黄昏だからといって
泣かないで

雨降りだからといって
泣かないで

青空だからといって
泣かないで

手でもつなぐ?

ほら、虹だよ

2008年10月17日金曜日


昨日の空と今日の空は違う
今日の空と明日の空も違う
でも
昨日の空と明日の空はつながっている。
明後日の空とおとといの空もつながっている。

ロンドンの空とアフリカの空は違う
蜜蜂の見上げる空とバオバブの見上げる空は違う
でも
北極の空と南極の空はつながっている。
ペンギンの見上げる空とイグアナの見上げる空もつながっている。

だから
100万年前のアンデスに咲く花の見上げた空と
100万年後のエジプトのネコが見上げる空はつながっている
ように
あなたの空と僕の空もつながっている。
のだ。


2008年9月28日日曜日

A-TRAIN

決意した朝
僕は中央線でもなく
丸の内線でもなく
A-TRAINに乗ったのだ
JAZZの街ハーレム NYを目指して

1000の詩と
情熱の切符を持って
2匹の金魚と

西武線でもなく
山手線でもなく
A-TRAINに乗ったのだ
JAZZの街ハーレム NYを目指して

決意した朝
僕は足元から延びる
A-TRAINに乗ったのだ

2008年9月11日木曜日

沖縄

はじめて沖縄に行った日
車で町を走っていたら
田無とか
東村山じゃないかと
都心から少し離れた
ただの町じゃないかと思った

海を見るまでは
居酒屋の店主が泡盛飲んで三線をもって硫歌歌うまでは
屋根つきのお墓見るまでは
やがて夜が来て
波のしらべに耳をすますと
さらに沖縄らしくなった

しかし
人の多く死んだ島は
どうしてこうも風が強く吹くのか
何かをかき消し
遠くへ運んでいくように
たとえば
戦車や戦闘機の音にまぎれて聞こえる
平和の歌や
基地の中から聞こえてくる
かじゅまるに住むキジムナの笑い声を

島はときおり強い風で泣く

はじめて沖縄に行った日の夜
沖縄は強い風が吹いていた

思い出のように

決めてるの
あなたのもとを去るときは
思い出のように音もなくと

ジンライムを頼ませて
引き止めたのはあなたなのに

ピアノトリオのアンコールが
聞きたかったわけじゃない

季節はずれの大雨が
街を濡らしたからでもない

指先が綺麗だねと
あなたがみとれてくれたから

煙草を吸わないなあなたには
どうやら私は煙たいみたいね

決めてるの
あなたのもとを去るときは
思い出のように音もなくと

2008年9月10日水曜日

だめだ

だめだ
ぜんぜんだめだ
まったくだめだ
まるでだめだ
だめだ
これでいいわけはない
これでいいわけがない
だめだ
だめだ
だめだ
どうしたら
どうしたらいいのだろう
やるしかない
やるしかない
やれるとこから
やれるとこから
やれるとこまで
だまって

2008年9月4日木曜日

晩夏



夏雲ふくれ
夕立がきて
ほてりにさよならと
ふきはじめた秋風に
ゆれる向日葵

2008年9月2日火曜日

天使

僕、実は天使です。




覆われ湧き上がり現れる
ゆっくり突然遠くの傍で
まるで死のように




覆われ湧き上がり現れる
ゆっくり突然遠くの傍で
まるで愛のように

雨は恵みなのだと
草木や花は知っていて

雨は鎮めることのだと
大地と大気は知っていて

雨は美しさなのだと
湖面の波は知っていて

雨は始まりなのだと
すべての星は知っている

傘の花咲く雨の日

雨はあなたなのだと
僕の心は教えてくれた

2008年8月26日火曜日

陽を浴びて地に根を下ろして
あせらずじっくりと伸びる草

風や蝶が駆ける青い空に
たくましい緑の梯子をかける

ああ、バッタや毛虫が昇って食っている

雨を受けて地に抱きついて
聞こえぬ歓喜を宇宙へ響かせ

全うする自由で堂々とした
湿るその手と腕にふれる

ああ、ここにまた新しい芽が突き出ている

未来へ

遺詩

生きているのがつらいのです
後悔や過ちばかりが
心をよぎり
喜びやしあわせを
いくら投げ入れても
どうにもならないのです

なにかを始めては
続かず終わらず
また両親や周囲の人に
迷惑心配をかけ
あやふやな幻想ばかりを
追いかけて
草の寝息は聞こえない

髪はかさつき 目は悪く
鼻も悪く 口などは虫歯で臭く
脂肪のたまった体と
インキン 水虫

生きているのが楽しい訳はなく
金もなく 女もなく
心を病み明るさもなく
何の役にもたたぬ人と成り果てた

生きているのがつらいのです
眠りにつくとき
このまま死んでしまえたら
どんなにか楽かと思うのです

すみません 僕は
だめで愚かな人間です。

2008年8月25日月曜日

君の香りの中で

君の残した香りは
いつまでもここで僕を包む
手をつなぐことさえ出来ない僕を
君の香りだけが包む

僕は君を思い出す
目を閉じて君を思い出す
君の香りの中で
そこにいた君を

2008年8月24日日曜日

2008年8月22日金曜日

獏さんみたいな

 
一行 また一行
連ねていって
詩にする

風景や
気持ちや
思い出を

獏さんみたいに
気おわず
気どらず

一行 また一行
連ねていって
いつかいい詩を書きたい

詩人て
かっこよくない?

2008年8月16日土曜日

言葉

おはよう


僕はちいさな言葉に心を奪われた
あなたはちいさな言葉をたくさんいった


これ、きれいだね
ねえ、どうおもう?


だから僕はあなたにちいさな言葉を贈った

あなたが好きです

そしてあなたはまたちいさな言葉をいった

ごめんね


あなたの口からこぼれたちいさな言葉たちを
僕はいつまでも忘れない

おはよう 
これ、きれいだね
ねえ、どうおもう?

ごめんね


僕は今 ちいさな言葉をひとつ見つけたよ



ありがとう

理想

未来を開く一瞬一瞬に
すべてで向かう
その清廉な魂と
ほほえみとで

願い

僕があなたに出会ったのと同じように
僕はあなたに愛する人に出会ってほしい

僕はもう

最愛の人よ
僕の存在があなたの苦しみならば
僕は死んだってかまわない

僕はあなたを愛することで
生きることを知った
生きることとは愛することと

だから僕はもう死んだってかまわない

2008年8月1日金曜日

2008年7月30日水曜日

2008年7月18日金曜日

手紙

文字を書いている時間と
ポストまで歩いていく時間を
郵便屋がその土地の空気と一緒に
集めて、束ねて、送り出す

ゆらゆら、ゆられて
がたごと、ゆられて
旅をして

コトリと鳴いて
郵便受けであなたの帰りを待っている
月を見上げて
私と一緒に

2008年7月8日火曜日

生まれ変わったら

 
生まれ変わったら女になりたい
好きな男に愛されて
死にゆく様を見届けて
しばらくふらりと旅をする
孕んで
生まれ変わったら女になりたい

2008年7月7日月曜日

言寺

あなたと詩を読みたいのです

ああだ
こうだ
うんうん
あはは
したいのです

言葉が寺の鐘みたいに響く詩を

ああだ
こうだ
うんうん
あはは
したいのです

2008年7月4日金曜日

魔法使い

ちいさな励ましの言葉が
魔法のように人の心を強くする

強い風や熱い太陽さえも
ものともしない強い心がちいさな言葉で生まれてくる

人は誰もが魔法使い
ちいさな言葉で周りのを幸せにできるのです。

2008年7月3日木曜日

やわらかな声

思うにままならないことを
思い煩い時間ばかりが過ぎてゆく

お酒を飲んで、散歩して、本を読んで、映画観て
仕事して、誰かと話してても舞い降りる

忘れてしまえばいいのにと言われても
感じた気持ちさえ捨ててしまうようで

月日がたてば姿が変わって
うまく扱えるようになるのでしょうか

風のない静かな晩には
やわらかな歌が聞きたくなる

戻りたいとも忘れたいとも思わない

風のない静かな晩には
やわらかな声が聞きたくなる

やわらかなあなたの声が聞きたくなる

2008年7月2日水曜日

光が呼びかけて

光が呼びかけるので
振り向くと
高層ビルの反射した夕日

目を下ろすと
シラフに身を包んだ乞食

初夏の風が
木々をざわつかせ
すずめが宙を飛び
吸殻が転がっていく

なんということのない
平凡な一日の夕方

私は公園のベンチに座る男
詩集を読み、本の裏表紙に言葉なんぞを書いている

光が呼びかけて文字を連ねた
見ているのか私を誰かが

2008年7月1日火曜日

いせやの店員

煙にいぶされて
衣服にたれがついてこんがり焼けた
二の腕なんかは油でつるりとしている
悪態をついてしゃがれごえで立ち寄る客と愛撫する
禿げ上がったでこのしわに
流れ星

2008年6月29日日曜日

一番いい

水がいいのです
飲むのは
水が一番いいのです
体に

愛がいいのです
もらうのは
愛が一番いいのです
心に

風がいいのです
伝えるのには
風が一番いいのです
あなたに
想いを

2008年6月28日土曜日

給料日

昨日給料日だったのに
もう財布が空っぽだ
弁天様へお参りでもして帰ろうか
でも 供えのひとつもしなけりゃな

女だから
甘いもの 光り物
愛の言葉もいいかもしれない
でも やっぱ金だよな

ああ
飯を食えば金がいる
女を抱けば金がいる
神様拝むのも金がいる

そのうち息をするのも
金がいるようになるのだろうか

そのうち糞をするのも
金がいるようになるのだろうか

そのうち人を愛するのも
金がいるようになるのだろうか

心地よい風がこんなにも
木々を揺らしているというのに

2008年6月27日金曜日

供詩

なにかの支えになるような
友が自殺した女に寄り添える
仕事で人を裏切った男に届く
そんな詩を

空へもぐり
緑を浴び
水を聴き
考えたのだが

ちっぽけな私からは
出てこない
ついにはこうして
まず文字を連ねて・・・

過去は戻らぬのだと
取り返しがつかぬのだと
はっきりわかっているにもかかわらず
ときにぼんやりとしてしまう

未来は 明日は
決まってなどないのだと
はっきりわかっているにもかかわらず
ときに知ったように思ってしまう

祈りがいらだちをしずめ
正しき草の道を示す
与えられた手を持って分け進む
正しき草の創造の道を指し示すのだ

その手の痛みを喜びとし
その体の臭気を慰めとし
その心の傷を誇りをせよ
恐れず生きるのだ

地球のように

2008年6月26日木曜日

蝶が飛んでいる

飛べるのになんとはかない

手のひらで

いとも簡単に消えていく

世界の秩序に逆らわず
飛べるように生まれてきた蝶は

舞い飛ぶ 先にも 後にも
純粋な軌跡が描かれていく


僕ら人間の
飛べもせず歩いた歴史の
たどたどしさよ

蝶よ おまえには
神の声が聞こえるか

2008年6月25日水曜日

時の芳香~友へ~

洗濯物の揺れる影が

風とともに部屋に入り込み

疲れ横たえた君の体を

猫がじゃれるようにゆする


寝息を立てる君の顔に浮かぶ

悲しみと喜びの年輪


この部屋に満ちるのは

君と出会ってから今まで積み重ねた

すばらしき時の芳香

2008年6月24日火曜日

メール

深夜、あなたからのメッセージ。

短い感謝の文が心を揺さぶる。

愛する人からの言葉ほど心強くするものはない。

僕があなたを愛するように

あなたも誰を愛しているのですね。

あなたの幸せを願っています。

言葉をありがとう。

2008年6月22日日曜日

愛について

 
 
 愛は永遠と君は言う
 愛はまやかしと君は言う
 愛は未来と君は言う

 愛は
 日々汚れ
 汚れを落とし
 しわをのばして
 きれいにたたむ
 そして風の強い日つつんでくれる

 3丁目のクリーニング屋の娘の
 洗ったシャツに他ならない

2008年6月17日火曜日

月夜

月夜の晩は
ふらりと歩いてみたくなるのです
どこまでも月がいますから

2008年6月15日日曜日

幻燈

夏の夜空の下の幻燈
いつきたのか
いついなくなったのか
都会の夜空の幻燈
見上げれば終宴
うつむけば始まりの羽がカサカサと
届かぬ果てに消えてゆく

2008年6月13日金曜日

未来

あなたの未来は
あなたのためにある
僕の未来が
僕のためにあるように

あなたが僕の未来を愛してくれるように
僕はあなたの未来を愛する
あなたはあなたの未来を
僕は僕の未来を愛するように

2008年6月12日木曜日

日付

日付が365日しかないから
何年たとうが忘れるなよといわんばかりに
その日がくる

誕生日や記念日など
心躍る日ばかりだけでは
あるまい

生きていれば
悲しく途方にくれ
後悔で押しつぶされそうな日もある

でも、すべては過ぎたこと
同じ日は二度と繰り返さない
ただ新しい今を精一杯生きるのだ

2008年6月11日水曜日

労働

薄暗い地下の部屋に
同じ服の同じ目をした人がいる
自由を金と引き換えて今日を生きる
夢を保証と引き換えて今日を生きる
大勢いるのに孤独な人がいる

俺も大勢の中で同じ服を着て
同じ目になるだ明るい明日のために

そうしなければ
夢も自由もない。生きてもいけない。
映画を見ることも女を抱くこともない。

この
金に征服されたまばゆい世界と、
おびえきった俺の心では!

ファック!
叫ばせてくれ
ファック!

2008年6月10日火曜日

あなたが好きだというから
雨音楽し
傘の花美し
麗しあなたが
好きだというから
雨の日が待ち遠しい

2008年6月8日日曜日

なぜ

愛する人の一言 たった一言は
なぜこんなにも私の心を暖かくするのか

愛する人の一言 たった一言は
なぜこんなにも世界を明るくするのか

ああ、
私はどうしようもなく とめどもなく
人を愛してしまったのだ

ああ、
なぜこんなにも愛してしまったのか
私を愛さぬ人を

祝詞4

呼応し細分化された球形から
放射された陰影が開示する
予告めいた導火線の滴りは
ただ装丁の陰部に終息しゆく

2008年6月6日金曜日

祝詞3

それは瞬間の旋律が世界を包括するところから隆起しはじめ
状況を永続的に開放し濁流とともに
研磨された無限の静寂の塊を
感受し携え咆哮するというなのだ。

父へ

臭いが似てきたのは人を愛したからでしょうか?とうさん。

2008年6月5日木曜日

祝詞2

幽玄の彼方より迷いくる
甲殻の羽音の明滅した希望が
前兆なく抱擁し
牛革の伝統を放棄し忘却するのだ

犠牲の微笑が就寝し
静寂の上蓋が別離を興す
しかし然として雪崩を踏みしめるのは
感得しているからなのだ残忍な歓喜を

眼球の行方の砂塵を行く呼吸
覚者の表層を3番手の端にて掘る
警笛の椅子、いや傘、いや、石が
蛾の訓戒を

2008年6月4日水曜日

祝詞

紫の月光が揺らめく海面を燃やし
突き刺さる振動が血液を沸き立たせ
祈りをささげられたマリア像の瞳に反射する
残像を払拭しわが身へ近寄せる

裂けた海溝の壁面に刻まれた
生命の慟哭に彩られ
混迷の果てより立ち上る
無数の感触と痙攣し続ける指先

漂流する鼓膜に届く
摩擦の悲鳴と快楽の解釈
掌握された星のかけらの
閃光を受け入れ噴出する歯車

虚構の空に呪われた旋律
蜘蛛の露の疾走と失踪
仕掛けの人形の手のひらで
転がる金色玉や勾玉

2008年6月3日火曜日

想いが微笑みを殺す

いつでも いつの時でも
あの子のそばにいたいけど
冷たい態度に心が悲鳴を上げている
忘れてしまえよと風が騒ぐけれど
悲しいくらい思い出してしまうんだ

始めて会った日
あんなにもやさしく微笑んでくれたのに

その微笑みを奪ったのは
僕の想い、好きだという想い

証明

よろこびも
かなしみも
生きていることの証明

起きていることも
寝ていることも
生きていることの証明

愛することも
憎しむことも
生きていることの証明

なにを拒むことがあるだろうか
なにを戸惑うことがあるのだろうか

引き受けてしまおう
身に起こるすべてのことを
それが生きていることの証明
なのだから

2008年6月2日月曜日

旅立つ友に捧ぐ

大地に付き立てた足と
地平線のへ向けた目を信じ
大空からの祝福を受け
心惹かれるままに
旅せよ男子

2008年6月1日日曜日

星野道夫氏に捧ぐ

あなたのやさしさと暖かさは
死してなお
傍らにいるかのように
僕らに安ぎをあたえてくれる

極北の岩場に咲く
忘れな草を思い出せば
傍らにいるかのように
僕らに愛の意味を教えてくれる

限りなくそっと

2008年5月31日土曜日

ブログ

僕のブログに
あなたの足跡。             



    

   。

いつでもドロー

恋に勝ち負けはない いつでもドロー
愛に勝ち負けはない いつでもドロー

出会って 笑って 落ちてくだけ

出会いに勝ち負けはない いつでもドロー
別れにに勝ち負けはない いつでもドロー

あいさつして 握手して 微笑むだけ

思い出に勝ち負けはない いつでもドロー
人生に勝ち負けはない  いつでもドロー

傷ついて いたわって さようなら ありがとう

遊びじゃなければ いつでもドロー

神様

いるのなら
教えてください
ぼくの
生きている意味

待ちます
明日の今のときまで
あなたの声が小さいのは
しっています

でもぼくは
きょうは
澄まします 耳を
あなたの声に

ですから  どうか
教えてください
ぼくの
生きている意味

2008年5月30日金曜日

琥珀

あなたの微笑むこの写真
季節が流れて色あせても
わたしの心は色はあせず
かえって輝く琥珀のように

2008年5月29日木曜日

南国

南国ヤシを降りていく夕陽
遊びつかれた僕らにその指先がかかる
過ぎ去る時を引き戻すかのように
過ぎ去る時を取り戻すかのように

2008年5月28日水曜日

抱擁

あなたが遠い空の下で
見知らぬ誰かと抱き合う夢を見た
私には見せないその情熱的な
抱擁とくちづけ
私はその場を動かずにただ立って
その光景を見ている
するとこれは夢であるからその様子が
繰り返され始めた
そういうときばかりなかなか目覚めない

2008年5月26日月曜日

パチンコの詩

目覚めて思い立ちパチンコ
腹がへり 蕎麦屋へ行くついでにパチンコ
大きな夕陽 田舎を思い出しパチンコ
月に去った恋人を見てパチンコ
深夜夢の中で大当たり
あれこれ借りて金を
すっきり返したところで
目が覚めた

2008年5月24日土曜日

あめふり

あめふり
ながれ
あめがやむ
みずたまりに空がつかまっている

生まれて
出会って
死んでいく
地表にやさしさがのこっている

始まり
流れ
終わり
時間におもいでがのこっている

床屋のうた

シャーパラパラ パチン
シャーパラパラ パチン
髪をすいて
切り捨てる

シャーパラパラ パチン
シャーパラパラ パチン
誰かを好いて
自分を捨てた

床屋では 恋の脱け殻の音がする

自由

たとえどうなろうとも
人を好きになる自由があることは素晴らしく
そのことを教えてくれたあなたに出会えたことに
ありがとう

2008年5月22日木曜日

すむ

こころのざわめきを感じてそのようにすすむ

海の見えるすぐに泳げる場所にあなたとすむ

意味

 
自分の生きている意味
自分が生きていることで
自分以外の誰かを活かすことになればいい

でもその活かされた人は
自分には触れず気づかずというのではやはり
自分自身にその感情として捉えられない
常に誰にでも感じられる生命の温かみ

瞬間瞬間に
捉えられるべき
満ちた幸福
無限にある幸福
個人の私的経験にたよらない

あなたに会えて

あなたに出会えてよかった
あなたのもたらす喜びはもとより
悲しみや苦しみさえも
私にとっては生きているということを
鮮明に感じさせてくれ
私という一個の存在が満たされるだけでなく
こうして文字にしたり
何か人やものに対したときにも現れてくるのです

狂おしいほどの
この青春
この恋
この情熱
ここにあるのは生命の略動
指先のしびれ
わきあがる衝動
これはすべてあなたと出会ったから

あなたに
あなたの存在要因のすべてに
ありがとう

希望

希望はパンドラの箱の底に
唯一飛び出さず残っていたものだそう

パンドラの箱に入っていたのは
世界に存在しなかった罪悪

希望はパンドラの箱につめられた
最初の罪悪だったのかもしれない

一番深いところですでに
飛び出すことも出来なくらい長い時間いたのだから

いや、待てよ箱の底に長い時間入って
醗酵して希望になったのかもしれない

もとは絶望で最初に入ったのだが
そのあとさまざまな罪と悪に押しつぶされて希望になった

望むから罪が引き起こされる
望むから悪が引き起こされる
望みを絶っている私はここにいなくてもいい

それで絶望は希望になった

のかもしれない。

写真

写真の中のあなたは微笑みこちらを見ている

あなたの微笑む理由をさがして地球の裏の砂漠へ
水面に映る星を集めてカクテルに
叶うなら微笑むあなたのその時に
私を連れていってほしい

そばであなたの微笑む温度を感じたいから
そばであなたの微笑む音を聞きたいから
そばであなたの微笑を抱きしめたいから
写真の中のあなたは微笑みこちらを見ている

フレームに閉じ込められた微笑はかなしみ

あなたといると

あなたと一緒にいられる時間が多くなる
あなたと出来るだけ一緒にいたい
あなたといると幸せ
あなたといると楽しい
あなたに出会えてよかった
あなたのそばで見つめていたい
あなたのそばで生きていたい

トパーズに捧ぐ


さよならトパーズ
ありがとトパーズ

トパーズは今でもみんなの心の海を航海しているよ
いつだって目を閉じれば
荒波の日も 凪の日も
星空と朝日の隙間を 
ニコリとして

さよならトパーズ
ありがとトパーズ

誕生するということ

手ごたえがあった
抱きかかえた
あなたの
子供の
体の
心の
生まれたばかりの
存在に
手が沈む

占い

占いなどより大切なのもがある
それは自分の感性だ

木と私

木は見ていた
木は動かなくても
堂々と葉をつかせ存分に
自らを発している
それなのに私は
いったい何だろう
いたずらに動いて
何も成さず
酒を飲んで
愚痴愚痴と
筆を進めるばかり

2008年5月21日水曜日

世界

流動する石の上で
共鳴する生命
明滅する波紋の中で
反響する存在
伸縮する時の中で
沈黙する記憶
それらの世界を結ぶのは
愛という名の陽光

入っては出て
入っては出て
金もちんぽも食いもんも同じ
入っては出て
入っては出て
ただわずかな熱が残る

金魚

水槽に金魚が2匹
1匹は底に沈んで動かない
もう1匹はその傍らで動かない
空気ポンプの気泡がコポコポと
時の過ぎるのを告げている

まんじりと空を見る目と
私を見る目と
私の目と

空気ポンプの気泡がコポコポと
時の過ぎるのを告げている


朗読

雪が降る 柔らかに雪が降る 昼も夜もこの街に 雪が降る 足跡が道についている 誰かが歩いた跡 私も歩く 雪の中を 優しい雪の中を