乗り過ごした駅
一駅歩いて
タクシーもなく
帰った
田園の夜の
月明かりの射す
あぜ道の
ひとりではない時間
誰もが通り過ぎた門の
丸みのある地平の
歩く私をみていた
予定にない
予定された豊かさに触れて
私は歩いて帰った
乗り過ごした駅
一駅歩いて
タクシーもなく
帰った
田園の夜の
月明かりの射す
あぜ道の
ひとりではない時間
誰もが通り過ぎた門の
丸みのある地平の
歩く私をみていた
予定にない
予定された豊かさに触れて
私は歩いて帰った
愛をレッツゴー
愛をレッツゴー
愛をレッツゴー
愛をレッツゴー
ポメラニアン抱えた
かわいいねえちゃんのあんよ
酸素充満してる公園にポップアップ
俺のリビドー電気コイル
欧米に慣らされた煩悩開花
鼻の奥にピックアップ
ここが爆心地
ジェネリック薬品バリバリ噛んで
健康第一 パッチワーク
栄養一番
遠洋漁業
エンジョイマンボー
愛をレッツゴー
彼らは湖で暮らした
ソローソローヨーソロー
伝統的な公衆浴場
愛をレッツゴー
愛をレッツゴー
愛をレッツゴー
愛をレッツゴー
窓が曇り出したのはぼんやりとして火にかけ続けたやかんのせいかと思ったが
押し付けがましく広がる雲から降る雨が春の嵐に叩きつけられていたから
階下に降りてみると案外雨足は弱く構えて軽装で防水靴をはいている自分を笑った
数刻前までは家を出たくはなかったなぜこの嵐の中を行かねばならぬのかと思った
バイト先は自粛のために私が行かなくてもなんとでもなる本当にいかくてはならない場所では
ない。しかして私が本当に行かねばならぬ場所はどこなのだろうか
仕事の終わったあと真っ直ぐに家に帰らず電車を乗り換えて飲み屋街に出かけた
間違えて違う駅で降りた、二駅手前だった。
それから目的地までそんなにかからないだろうと歩いた。
私に必要なことはここにあるのだろうかと
私が求めるものがこの歩く先にあるのだろうかと
職場の同僚の誕生日だったことを思い出して、
このみちの先に何か文具屋のあったのを思い出した
そこへ向かおう
持ち歩いていたフィルムがないのを思い出した
電気屋がこの先にあったはずだ
買えるかもしれない
それが私に必要なものなのか
記録を残したいのか
映画を作りたいのか
未来が教えてくれる
足跡を私は辿る
今日も列車がいく
座るひと、立つひと、眠るひと、景色眺めるひと
ゆられて
帰るひと、行くひと、過ごすひと、どこに行くか分からないひと
どうやって動いている?
誰が作った?
どうしてあるの?
喜ぶひとはいる?
幸せになったひとはいる?
かなしみもある?
音が聞こえる
声の聞こえる
時のあること
ただあること
雨が降り通り過ぎる車がしぶきを上げている
地上10階の私の部屋にその音が響く
昼間そういえば道ゆく人の笑い声が
聞こえてくる時がある
高いところの方が音がよく聞こえるという
ここよりさらに高いところでは
ささやきのひとつも聞こえてくるのだろうか
私の心の声をとても高いところで
誰かが聞いていたりするのだろうか
ああ、この混沌とした私の声を
ああ、この混沌とした私の振る舞いを
こうしてまた光の速度で
溶け出してしまった私は
あなたの暮らす街から離れていく
朝陽が訪れるたびに
夢の香りから昨日の意味を知って
美しかったあなたが明日にもいるのかもしれないと
追いかけている
白詰草に包まれながら
どこまでここで漂う
僕たちのいくつかの言葉について 僕たちのいつかの言葉について ここへのせる たゆたう からだの ひとつのように 椅子へ腰かける穏やかな老人のように poem on chair