2012年2月19日日曜日

盲導犬

ある日の車内
伏せて周囲をうかがい
黒く光る鼻をひくひく
薄茶色の大きな犬

大声でギャンブル話する客
はしゃぐ子ども
触ろうとする老女に
たじろぎもせず
傍らに立つ主人に沿う
 
幼犬の頃走り回った山々
母犬のぬくもりの中で
兄弟と乳を分け合ったこと
流れる車窓に見ているのか

見つめる男が
自分の佇まいに胸を熱くしているのを
知りもせず

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季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす