2020年6月11日木曜日

6月の風

風が強く、薄く塗った雲の早く流れる6月は
いつだかの船の上で撒いた思い出が戻ってきたように思える
あくびをしながら椅子に座りつづけている美しい女がいた
うなる低い風の音はその女の声に似て
触れる風の細かさはその女の髪に似て
押し上げられるカーテンのふくらみは乳房に似て
今日もまたあなたを愛し始めている

0 件のコメント:

季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす