2014年4月28日月曜日

幻聴

永遠に記すことの出来る紙の上に
蝶が舞い降りてきて私を描けとせがむ
紫色の羽の中に赤い斑点
鱗粉の落ちる速度で海が開いてゆく
しぶきが水平線を隠して
呼吸の出来ない深海へと誘う
闇の岩場でしゃがみ込んだあなたが
こちらを見つめている
私は息をすることが出来ない
あなたの纏うカーテンが
境界線を作り上げて
その揺らぎがいつしか私を陸へと押しもどす
打ち上げられた水晶の砂浜に
ヒトデたちが眠っている
音も立てず太陽を吸い込んでは
新しい景色を吹き出してゆく
いつだったか信号待ちの瞬間に
白い綿毛を捕まえた
それは死にゆくものたちが残した貝殻
私は耳をあてて
それらのつぶやきを聴いた


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poem on chair

僕たちのいくつかの言葉について 僕たちのいつかの言葉について ここへのせる たゆたう からだの ひとつのように 椅子へ腰かける穏やかな老人のように poem on chair