poem on chair
2012年8月16日木曜日
8月のソネット
うろこ雲ざわめき
たたえた噴水の泉に
サンダルを揃えた
晩夏の踊り子
途切れ途切れの
記憶の隙間に
8分19秒前に贈られた
硝子越しの呼吸
ほおづえの先に
秋の気配たずね
待ちこがれる風に
山茶花みつめる
コオロギの鳴き出す夕べ
たおやかな
釣床の夢
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季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす
傘
雨が降ると天気予報で聞いた 傘を持って出かけた でも、雨はぼくが屋根の下にいる間に降って だから、ぼくは濡れた路上の上を傘を持って歩いた ビルの間から木漏れ日みたいに陽が差して ぼくの世界はまっ白になったんだ それで、ぼくは持っていた傘を開いて 歩いたんだ ...
社にて
女の眠る本屋の二階 カビの臭いのする布団 光の差し込むグラス 寒風の通る路地裏 車に乗って女を探して 目覚めるとそこにいた 溢れるくらいの冬の気配が 少し触れるだけでこぼれきそうで動けない 時折ひびくアラームと 夢とうつつの交わる振り子時計 老人の手の皺 ...
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