2017年3月20日月曜日

指先

あの夏の楽しかった波打ち際で
水面から燕が飛び出して
秋を迎えに行ったね

明けがたの別れ際で
少し話があるんだって
嘘だっていいから
飛び跳ねた風船をみつけたらよかったね

指先がいつも明日のスイッチを押して
コンベアーに乗っかって
螺旋階段のすみを見つめているんだ

そこの交差点を曲がれば
目的地はすぐ
そこで待っていれば
来るんだ

そのときは知らなかったんだよ
そうそれは未来のことだからね
そのさきも知ることはないんだね
そうそれは起こらなかったことだからね

そう指先
指先が
描かなかったね


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poem on chair

僕たちのいくつかの言葉について 僕たちのいつかの言葉について ここへのせる たゆたう からだの ひとつのように 椅子へ腰かける穏やかな老人のように poem on chair