2024年9月12日木曜日

Time タイム


 

太陽の緑に

落ちゆく水平線に

僕たちは足跡を残した

 

どこまで行こうとも

影のあるのを忘れている

 

影が消えてはじめて

僕は肉体を知る

 

陽光が存在を通過して

水面にはねていくのだ

 

はぐれた飛沫が

波に飲み込まれて、ゆらぐ

 

また白い船が

虹色に輝きながら並走していく

 

空や海や宙にうかぶ

ひとひらのこと

 

氷が砕けて数千年前の

声が響いてくるのだ

 

空気とは

つまり声のこと、その日の

声が押し潰されながら

永遠に近い時を待つのだ

 

どこへ流れるかは

それらのエレメントが

砂を吹かせるのだ

 

砂に染み込んだ

痛みを私は

またいつの日か

あこがれと共に知る

 

溶けていく時間の果て

に浮かんでくる小舟が

月の満ちるのを知って

星々が旅に出ていく

 

帰るところはない

 

行き先のないこと 旅

戻ることのない 旅

 

昨日のこと 

別れを告げて

明日を迎えにいく

 

歩いている

鐘の鳴る方へ

 

波がとどまりたいと 願い

もう いることはできなかった

 

そこや

ここ

 

何をとり払ってしまったのでしょうか あなた

窓から 陽はさしてました

 

月の光が多く ある 夜に

近づいてくるのを

待っている

 

グラスで

氷は溶けた

 

海が青く

氷が青く 白く 凪ぐ

 

僕は

生を何度投げ出しただろう

 

星のめぐりは

問いを遠ざけて

 

せわしなく

僕の身体を使役する

 

重すぎる問いを

僕は忘れて溺れる

 

記しながら

天国を見つけた

 

僕が謳えるところはどこにある

 

夕陽の中で

後ろに

ピンク色の時間を見た

 

拾った

小さな小箱の中に

僕たちは

景色を閉じ込めた

 

その日の

美しさや

おっくうさ

空の下の

小さな緑

など

 

懐かしい笑い声と

身体に詰まっている

風のいくつか

 

月が

 

君のみた

美しい

景色を教えて

 

あなたは

鳥を見た

鳥は印

あなたの

優しさを

記す

 

それは

訪れ

どこから来たのか

 

到着して

僕は出会った

 

山にかかる

朝霧の

着岸までの時間

美しいものが

近づいてきた

 

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狭き門

広く広く広がるところから 狭き門を目指して 生 生を自分で閉じて しまう 鳥とだけ話して生きる 私は私の飼う 私の中に隠れている 鳥のこと 鳥とだけ話して 呼吸をする 限られた 生と 言葉を 紡ぐ