こうしてまた光の速度で
溶け出してしまった私は
あなたの暮らす街から離れていく
朝陽が訪れるたびに
夢の香りから昨日の意味を知って
美しかったあなたが明日にもいるのかもしれないと
追いかけている
白詰草に包まれながら
どこまでここで漂う
炊かれた日々のほとりから
かじかんだ麒麟の群れが水平線を目指す
打ち付けられた十字架の残響が
緑の丘を低く飛ぶ
組み上げられた木材が
正方形の海に沈む
密林の岩岩に夜光虫が、蛾が
息を潜めて訪れを待つ
パプリカ
鳥かごの重さを抱えながら
雨粒の軌跡をたどっていく
今朝、馬車は教会へ着いた
北千住の飲み屋街/誰かの落としたチョコを拾う/バレンタインデイ神からの愛として食う