2019年9月5日木曜日

2019・8・18

君のいた景色をなつかしく
まぶたが思い出して
涙のこぼれるのに
溶け出して

手のひらから
ぬくもりが消えて
触れるものすべてに
流れ出してゆく

風が波を立てて
波がまた風を起こして
見つめることで
時がまた過ぎ去ってゆく

整頓された四脚の椅子に
ステンドグラスからの陽が差して
ぼんやりとした蜻蛉たちが
秋の空に印をつける

あの暑い日の幻が
黒い階段から降りてきて
ドレスを纏った少女を
さらって行った

水びたしの三角コーンが
チェスを始めて
甘すぎるクッキーを
給仕

拒まれ去られていくことを
知らないものが
許されざるものとなる前に
美しき一輪の花を飾れ



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季節が来て 人ははなれて 風が吹く 冷たい手のひらで 去っていく 金魚 煙であればいい 背徳の館に 君の影が さす