2014年10月31日金曜日

つかれた女

交差点で見かけた女は
会釈だけして足早に
横断歩道を渡っていった

自分の鞄の他に
靴やら服やらが入っているであろう
紙袋を抱えていた

スカートをはいていた
濃い口紅をしていた
時刻は午前零時

一度酒の席で会ったことのある女だ

誰かと関わることに
つかれた女が
会釈だけして足早に
横断歩道を渡っていった

その後ろ姿が
話しかけている気がしたのは
私もまた
つかれていた

poem on chair

僕たちのいくつかの言葉について 僕たちのいつかの言葉について ここへのせる たゆたう からだの ひとつのように 椅子へ腰かける穏やかな老人のように poem on chair