2014年5月4日日曜日

弱い光

金を大量に稼ぐビジネスマンに囲まれると
どうしてこうも自分の喜びが
薄っぺらいものに思うのか

数字や数値に変換される世界では
誰かと景色をつくることは
悲しいくらい弱い光

Say Hello Love

遠い未来薫るだけ
君が触れる
季節が巡る

雲が胸に漂うだけ
君に触れる
針がとまる

Say Hello Love
Say Hello Love

昨日も 明日も すっとんで
君を見つめる今があるだけ

Say Hello Love
Say Hello Love

2014年4月28日月曜日

幻聴

永遠に記すことの出来る紙の上に
蝶が舞い降りてきて私を描けとせがむ
紫色の羽の中に赤い斑点
鱗粉の落ちる速度で海が開いてゆく
しぶきが水平線を隠して
呼吸の出来ない深海へと誘う
闇の岩場でしゃがみ込んだあなたが
こちらを見つめている
私は息をすることが出来ない
あなたの纏うカーテンが
境界線を作り上げて
その揺らぎがいつしか私を陸へと押しもどす
打ち上げられた水晶の砂浜に
ヒトデたちが眠っている
音も立てず太陽を吸い込んでは
新しい景色を吹き出してゆく
いつだったか信号待ちの瞬間に
白い綿毛を捕まえた
それは死にゆくものたちが残した貝殻
私は耳をあてて
それらのつぶやきを聴いた


2014年4月22日火曜日

まぼろし

空の果てを探して見上げた蜃気楼に
虹のこぼした水滴が流れて
つぶやかれたはずの言葉の足跡
雲の揺らす記憶の草原
漕ぎ出された二層ボートのきしみ
十字架のまなざしを受け止める月
バベルの窓から見下ろす町並みは
鳥すらも恐れて踏み込まぬ聖域
待っているものは巡る朝日のぬくみ
ひまわり畑の真ん中で少女が
空を指さしている
旗がゆれて
流星がはじけた
まどろみのなかでぼんやりと
触れることの出来る
幻をみた

2014年4月21日月曜日

戦争しよっか

ねえ、最近どうしてる?
そいうえばさ、今月誕生日だったよね
こっちの仕事もひと段落したし
どうかな、今週末いつものところで
戦争しよっか

付き合ってそろそろ3年になるね
お互いの両親も気にし始めてるし
あまり無駄使いしないで貯金も出来てきたし
どうかな、そろそろ僕ら
戦争しよっか

2014年4月17日木曜日

二つの山

朱い山と
蒼い山の
はざまに
静寂が芽吹く

白い恐れを
黒い雨が
包みこんで
立ち上がる

虹色の山々を
鳥や風は
悠然とその身に映して
星々に消える

望まれた山だけが
畏怖の中に震えている

2014年4月15日火曜日

北の桜

桜が咲いていたのは知っていたけれど
君を思い出して泣きそうだったから
出歩かずにうつむいて歩いた
それでも窓を開けると花びらが吹き込んで
甘えるみたいに舞っているんだ

まだ追いつけますか、せめて桜を
また君の来るのを待てますか、せめて春を

君と見た景色を追って北へ北へ
桜を追って北へ北へ

通り過ぎた歩道に桜雪

いつか見た景色を追って北へ
春を追って北へ北へ

積もる花びらばかりが桜色



2014年4月11日金曜日

死神

先日死神に会って危うく死にそうになったが
菩薩の加護によってなんとか生き延びた
死神の詩を書いたのだが紛失した
出てこなくてもかなわないが余計な詩を書いた

情景(下)

何も残したくないといった友人がいた
カメラを向けると嫌がるのだ
写真には映らなかったが
私はその友人を忘れない

何も残さなかったものが
置いていったものに憧れて
街は拡声器で喋り続けている

誰にも会いたくないと思うとき
私は会えないものに憧れている

ゆうぐれ

くちびるがぬれて
きみのいきのにおいがする
ふさいで
わたしをそそいでしまえば
どんなゆうぐれが
おとずれたというのか

夜光虫

鉛筆が尽きるまでに
どれだけ詩が書ける

この紙が尽きるまでに
どれだけ詩が書ける

この命が尽きるまでに
どれだけ詩が書ける

巡り、与えられた
命、紙、鉛筆

ひたすらにつづる以外に
何をするというのだろう

生涯をかけてやることが
なんなのかを問い続けて
みつけた一筋の糸

たぐりよせてその果てを
見ようとする

今地球の裏側は夜
今私のいるところは朝

誰に向けているのでもない
ただつづる

その先に海辺の香り
その先にレンガの町並み
その先に走り回った校舎の記憶

飲み干したコーヒカップに
夜光虫が浮いている


言葉の音

今日は釈迦の生まれた日
悟りを開いて歩き回り
森の菩提樹の元で涅槃にはいった

彼は何を伝えた
彼は何を残した

2千年もあとになって
私が思いを馳せること
彼は知るはずもない
私も誰か知らないものに
思いを馳せられることがあるだろうか

私はあなたにいう
こんにちは
私はあなたにいう
元気ですか

今年のことを少し話しましょう
今年の春は雨が多くて
桜の散るのが早かったです

消費税という生きていることに対する
義務が増えました

そちらはどうですか
詩なんか書いていられますか

もう 文字などというものは
いらないのかもしれませんね

でも いいものですよ
紙の上を走る言葉の音というのはー

ひとつの詩

1日に100も詩がいるかい?
1日に10も詩がいるかい?
1日に1つ詩がいるかい?
1年に1つ詩がいるかい?
10年に1つ詩がいるかい?
一生に1つ詩がいるかい?
始まりと終わりの間に詩がいるかい?

切り抜かなくても包まれている
ひとつの詩に

2014年4月10日木曜日

どこへいった

夕焼けと引き換えに
町にはビルが建ち
星空と引き換えに
夜の盛り場が出来る

どこへいった あの夕焼けは
どこへいった あの星空は

愛と引き換えに
金を手にして
しあわせと引き換えに
幻が増えてゆく

どこへいった あの愛は
どこへいった あのしあわせは

どこへいった
僕と引き換えに僕は

どこへいった
どこへいった・・・


2014年4月7日月曜日

お品書き

ごぼうと菜の花のおひたし
赤貝、ミル貝、平貝、刺し
マテ貝焼きの酒盗乗せ
ホタテのバター醤油焼き
サザエのつぼ焼き
卵焼き
カキフライ
白貝酒蒸し
ホタテと貝類の炊き込みご飯

2014年4月4日金曜日

タブロイドの夢

タブロイドの夢に預けられた
硬質インクの雨
焚き火の中で晒しあう
小人の群れが寝静まる
ふかし不可思議
ちぼちぼちぼちぼ
七色の帳(とばり)みたらし団子
尾ひれ求めて大西洋
内科ディスタンス
むさしのアレクサンダー


ドーナツ屋の娘

いつも気にしてふりかえる
ドーナツあげてる君みつけて
今日は一日晴れ
君を見つけて
輪っかのむこう
今日は一日晴れ

桃子

どこいるん
ここいるん
酒、飲どるよ
どこで飲んでるん

どこいくの
どこいきたいいん
お酒あるとこ
桃子おるとこ

じゃーきるよ
またね

どこいきたいん
お酒あるとこ
桃子おるとこ



遠く逃れて

キレイな詩ばかりはうたえない
キレイなことばかりで成り立っていないから

陽気な詩ばかりはうたえない
陽気なことばかりで成り立っていないから

生きていることすら煩わしく思える夜
私は遠くへ行きたい
煩うことすら忘れるくらい
私は私から遠くへ逃れて

2014年3月28日金曜日

メロンパン

メロンパンにはメロンがはいっていない
実存から遠く離れて
ひとりあるき

気配を主張しながら
入口と出口を
モザイクかけながらまかりとおる

浮世離れのメロンパン
コペパン、食パンの
たどり着かぬ極地極楽

カスミを食うという
仙人たちのいわば主食
メロンパン

メロンパンにはメロンが入っていない
キャメロン・ディアスにはたまに入る

ひとひら

わずかな季節に咲いては舞っていく桜の花のよに
色や形の意味が空に溶け出しても

君の前にいることが何も必要としなくても
共にあることのその喜びが
体とか心とか声、越えちゃえばいいね

コンクリの街でも、360度水平線の海の上でも
共にあることの喜びが
体とか心とか声、越えちゃえばいいね

ひとつでもひとひらでも
ひとつでもひとひらでも

2014年3月18日火曜日

詩情を掘り起こす



自分ではない他者の中に眠る詩情を掘り起こす、ということは自分で詩自体を書いているわけではないのだけれども、その他者の書いた詩にとても親密さを感じる。自分自身の事を書く詩から、自分の見える他者の事の詩に移り、そして他者の書く他者自身や、他者の書く他者へと詩の興味関心が巡っているのです。

ここで言うところの他者とは事物、事象も含まれます。

2014年3月15日土曜日

かなしみ

書き綴った詩をまとめた詩集を
欲しいと言ってくれる人あり
僕は500円で売った。

500円が生き活きと
電車賃やカレーパンに消えて
いったのだが

どうして僕はこんなにも
かなしいのだろう

2014年3月10日月曜日

2014年2月18日火曜日

2014年2月17日月曜日

青い雪

100年だか1000年だかに一度の大雪が降った
駐車場の車はこたつを頭からかぶったように丸い

朝になり雪の降るのをおさまるのをみて
近所の人々は腰まで積もる雪をかきかじめた
溶けだした雪の水がシャベルからぼたぼた落ちる
昨夜サラサラと降っていた雪がこんなにも重くなる

ふとシャベルの上の雪の青いのに気がつく
南極の氷は大気を含んでいるため酸素が圧縮され青い
と聞いたことがある

この雪は大気を含んでいるのか
降る時に含んだのか
積もりながら含まれたのか
何千年も上空で抱えていたのが降ったのか
それはわからない

普段使う言葉たちはサラサラと流れてゆくけれど
どこかで空気を含んだならば
この青い雪のように輝くものになるのだろうか
そして積もりゆけば
ひとつの重さを持つようになるのだろうか

やがて溶けてふたたび空へ帰ってしまうとしても
その重さや青さを
私や誰かの中にとどめるのだろうか

2014年2月8日土曜日

はじめてまして

それはいつのことだったでしょう。
はじめてことばをはなしたのは

それはいつのことだったでしょう。
はじめてどこかにいきたいとおもったのは

それはいつのことだったでしょう
はじめてだれかのそばにいたいとおもったのは

そはれはじめてあめがふったときのことを
もうおぼえていはいないようにわかりませんが

ことばをはなすときや
どこかにいきたいとおもうときや
だれかのそばにいたいとおもうとき
そのすべてがはじめてのようなきもちで
いることはできないけれど
せめてわすれないようにしたい
きょうというは
いまというしゅんかんは
はじめてのことなのだということを

ぼくにとっても
あなたにとっても
このせかいにとっても
はじめまして

2014年2月5日水曜日

ボタン雪

ボタン雪の降る夕暮れに
僕らは少し昔を懐かしむ
ドーナツの輪っかの先に
赤い頬の君が吐く白い息
降るボタン雪に街は紛れ
君の呼吸に喧騒は消える

2014年1月25日土曜日

夜の河

柱時計の告げる
詩の始まりから
巻き上げられるネジ
幾千もの振り子が
夕暮れを追いかけた
麦わら帽子の未来を約束していた

インクの匂いを忘れずにいることで
かつて咲き乱れた花々
(例えばパンジー)(あるいは向日葵)

凍える駅のホームでも
星々の中に持つことが出来る

私はその夜に流れる
ひとつの河を見た

2014年1月21日火曜日

冬の句

冬空の 雲の形は とどまらず

ペッタンコ 繁盛願い ウス囲む

初詣 五円の穴に 青写真


2014年1月15日水曜日

答え合わせ

宿題の答えを教えてあう子供ら
ここ、何?
2番、あってる?
そこ、まだしてない。
これ、何かな?
同じ答えが提出される
どうしてそうなったか
点数には入らない
誰かが答えを教えてくれる答えは
点数のつく答え
どうしていきたいか
誰も教えてはくれない
答え合わせはない

2014年1月10日金曜日

雲が来る

コンクリートの街に
灰色の雲が来る
冷たいケースの人々は
それに気付かない

人がもっと空を持っていた頃
めぐる季節を
待ちわびながら恐れもした

電子のはじく雷を
僕らはいつしか信じはじめて
せまりくる雲のにおいを
忘れた

2014年1月9日木曜日

Go for a swim if there

Raining the day before yesterday
I did not want to leave something out
Rainbow but have come up today
Wind is cold

You turned around
Do not even anywhere in the world
You are staring at me
When is such a great day?

During the Thousand and One Nights in the language of love
Lake which was able in the downpour
Where is such a great side?
Have you by my side

Do not even anywhere in the world
Go for a swim if there


おととい雨が降って
外になんか出たくなかったわ
今日は虹が出ているけれど
風が冷たいわ

あなたが振り向いて
世界のどこでもなく
私をみつめてる
そんな素晴らしい日はいつ?

愛の言葉で千夜のあいだ
土砂降りにして出来た湖
そんな素晴らしい辺はどこ?
私のそばにあなたがいる

世界のどこでもなく
そこになら泳ぎにいくわ


2014年1月3日金曜日

日常

朝起きたら詩を書きます
夢の続きの
コーヒーを飲んで朝食を食べます
お腹が減ってのどが渇いて

夢の続きが消え失せて
刺激を求めて散歩もしくは読書か映画
煙草を吸って風が吹いているのをたしかめて
思い出や邪な幻想にひたったりして
昼下がり詩を書きます

役割というものを習いましたから
夕方仕事に出かけて皿を洗ったり
いろんな人をもてなしたりします

余裕があるときは友達や
まったく知らなかったけど気になる人に会います

ご飯を食べながら計画を練ったりします
それをお気に入りの手帳に書き付けて
たまに詩になったりします

移動中、読書をして死んだ人達の
言いたかったことは何なのかなと思いをめぐらします
寝る前もそうします
あるいは好きな人のことを思います

すると夢にいろんなことが現れます
ぼんやりだったり、はっきりだったり
気がつくと朝になっています

2014年1月1日水曜日

2013年12月30日月曜日

誰もがそれを知っている

あれが欲しいこれが欲しい
欲望願い事全開で
サンタに神様ランプの魔人に
お願いするけどさ
もらったものと掴んだものって違うよね
確かなものって
それが消えたあとだって
残って行くんだ
ほんとに欲しい物って
もうすでに持ってることばかりで
まとわりついてる
余計なものを戻してあげること
正しい流れの中に放してあげること
僕らに出来ることの全ては
あるべきとことろに
あるべきものを還すこと
僕らに出来ることの全ては
あるべき時に
あるべきところにいること
僕らはもう誰もがそれを知っている

2013年12月15日日曜日

時の光


時の節が光輝き
今も果てに向かい
放たれ続けている
時折、越えて
皆々の首筋を
通りすぎ
振り返らせる
時の光を撫ぜて
哀しい季節を慰めている

2013年12月9日月曜日

ラウンド ミッドナイト

枝から小鳥が飛び立つように
今夜が明日になる
灯が浮き上がらせる
遠いところで
呼吸すらどこまでも届いてしまうくらい
夜が更けて
私の心が何も言わなくても伝わってゆくようね
夜が更けて
あなたの心が何も言わなくても届いてゆくようね
枝から小鳥が飛び立つように
今夜が明日になる
夜のまわりでは

2013年12月7日土曜日

わけもなく

わたしが好きだっから
あなたは嫌ったのでしょう
あなたが好きだったから
わたしは嫌ったのでしょう
そのほかの、わけもなく

2013年12月6日金曜日

秘密保護法

秘密保護法の法案が可決し
実施されましたら
私はこの国では
罪人でありますから
自主します。

知りたいねぇ
一体何が国益を害する情報なのか
徹底的に
知りたいねぇ

2013年12月1日日曜日

マッチ箱

ぶつかりこすれて発火
おいしいものひとつ
たのしいことひとつ

ぶつかりこすれて発火
くるしいことひとつ
かなしいことひとつ

かかわりの中で初めて灯る
次は何色が灯る
しけてるのもたまにはあるよね

ぶつかりこすれて発火
愛することがひとつ
あたらしいいのちがひとつ

そうしていつしか
箱の中には最後のひとつ
ぶつかりこすれて発火

またね

poem on chair

僕たちのいくつかの言葉について 僕たちのいつかの言葉について ここへのせる たゆたう からだの ひとつのように 椅子へ腰かける穏やかな老人のように poem on chair